マスタリングとは?なぜ必要なのですか?

1. マスタリングで行う主な処理(技術的解説)

① 音圧(ラウドネス)の最適化
・リミッター / マキシマイザーによるピークコントロール
・LUFS(Integrated / Short-term)基準の調整
・各配信サービス(Spotify、Apple Music、YouTube)のノーマライズ規格に合わせた音量設計
過度に上げすぎると歪みや低音崩れを起こすため、
音質とダイナミクスのバランスを丁寧に取る必要がある。

② 周波数バランスの補正(EQ)
・ミックス段階のムラ(ローの溜まり、ハイの痛み等)を整える
・モニタースピーカーの特性差を均すために中域の微調整
・リファレンストラックとの比較によるバランス調整
マスタリングでは 0.1~0.5dB 単位の非常に細かい調整が中心。

③ ダイナミクスの調整
・マルチバンドコンプで帯域ごとの圧縮
・ボーカルの存在感や低域の安定感を補強
・トラック全体の“ノリ・勢い”を調整
EDM・ロック・ポップスなどジャンルごとの標準ダイナミクスを実現。

④ ステレオイメージング
・サイド成分の広げ方(過剰拡大は相殺されるリスクあり)
・Mono Compatibility(スマホやBluetoothスピーカー対応)
・位相の検査(L/R の干渉による消失防止)

⑤ ノイズ処理・クリップ補正
・クリップノイズ修正、ポップノイズ軽減
・不要な低周波(サブノイズ)のカット
・ノイズリダクションでホワイトノイズを低減

この一連の工程を正確なモニタリング環境と長年の耳を持つエンジニアが行うことで、
曲は“市販レベル”のクオリティに到達します。


2. なぜマスタリングが必要なのか?

① スマホ・イヤホン・スピーカーなど、全デバイスで最適に聴かせるため
・音楽はリスナーが使うデバイスで音が大きく変わります。
そのためマスタリングでどこで聴いても破綻しない
伝わってほしい要素がきちんと聞こえる状態に調整します。

② 他の商業曲と比べて遜色なくするため
YouTube・Spotify・Apple Music にはプロの音源が並びます。

マスタリングをしていないと、

・音が小さい
・低音ばかり強い/高音がキツい
・立体感がない
・素人っぽく聞こえる

などで即離脱されます。

③ “売れる・伸びる”曲には必須の工程
現代のアルゴリズム(YouTube, TikTok, Spotify)では、

・音圧不足 → 小さく聞こえて再生維持率が下がる
・高音が痛い → 途中離脱が増える
・帯域バランスが悪い → スマホで汚く聞こえる

という理由で、
マスタリング品質が再生回数に直結します。

プロの音源の「バズりやすさ」の裏には、
実はマスタリングによる“第一印象の良さ”が大きく関わっています。

④ アーティストの世界観を統一する最後の工程
複数の曲で音量・帯域バラつきがあると、プレイリスト再生で作品の魅力が薄れてしまいます。
マスタリングは “作品の名刺” といえるほど重要です。


3. マスタリングをしないとどうなる?(よくある失敗例)

・音が小さくて他の曲に負ける
・サビの迫力が弱い
・ボーカルが埋もれる
・低音が潰れてボワボワする
・スマホで聴くと痛い・篭る
・ラウドネスノーマライズで勝手に音量が下げられる
・プロ曲と並べると一気にチープに聞こえる

歌自体は良くても、音質のせいで評価されないケースは非常に多いです。


4. まとめ:マスタリングは“バズる曲の最低条件”

マスタリングは、
「曲を魅力最大化し、どの環境で聴いてもベストに届けるための工程」です。
制作の最後に行う“音のプロによる最終審判”と言っても過言ではありません。

UtaLab.jp では、楽曲がユーザーの再生環境や配信プラットフォームで最高の状態になるよう、
最新の技術基準に合わせたマスタリングを行い、曲のクオリティとバズりやすさを最大化します。